ADHD力向上委員会

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ADHDと愛着障害1:愛着障害と発達

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ADHDと愛着障害1:愛着障害と発達

愛着障害は赤ちゃんの頃から親に安定した愛情を持って育てられなかったことが原因で起こる障害です。愛着障害は後天的な障害で、先天的な障害であるADHDとは原因が違うのですが、症状が似ていて判別が難しいのです。また、ADHDに愛着障害を併存していることも多いようです。

 

愛着障害とは?

愛着障害は、安定した愛着形成ができなかったことが原因で起こる障害です。

 

人間は、母親との関係の中で愛着を形成していきます。赤ちゃんは生まれた時から生理的な欲求を本能のまま発信します。母親は言葉を話せない赤ちゃんが何を要求しているのかを感じ取り、要求をかなえていきます。

 

母親と赤ちゃんはスキンシップと求め応じることによって特別な結びつきを強めていきます。そして、一度しっかりと結びついた絆は容易に消えることはありません。

 

こうやって母親との愛情をもとに愛着関係を形成することができれば、「この世は安心できる場所で、人は自分を助けてくれる存在だ。」ということを信じることができます。これを「基本的安心感」「基本的信頼感」と呼びます。

 

ところが、母親との愛着が形成されなかったり、途切れてしまった時、愛着の形成が不安定になり、「基本的安心感」「基本的信頼感」が形成されなくなってしまいます。

 

つまり、ネグレクトや情緒不安定な母親によって安定した欲求充足ができなかったり、離婚や死別で母親と乳幼児期に引き離されるなど、安定した愛情を与えられずに育ってしまうと、今いるこの世界が安全だと思えず、人は自分の見方になってくれる存在だと思えなくなってしまうのです。

 

愛着障害と発達

母親との安定した愛着関係は、子供にとって最も大切な「安全基地」になります。「安全基地にいる限り、自分の身の安全は確保されている」という確たる安心感を持つことによって、子供は安全基地から外に出て探索行動をとれるのです。

 

1歳半をすぎると、子供は少しずつ母親から離れて過ごせるようになります。でも、少しでも怖いこと、困った事に出会ったら、すぐに安全基地である母親のところに帰ってきて母親に抱っこしてもらい、安全を確保し安心を得ます。

 

安全基地を拠点にした探索行動は少しずつ範囲を広げていき、3歳頃には一定の時間母親と離れていても不安を感じないで過ごすことができるようになります。

 

また、母親以外の人とも信頼関係を持てるようになって行きます。

 

母親との安定した関係が築けなかった場合、「安全基地」を形成することができません。安全基地を形成できなければ安心して探索行動をとることができなくなってしまいます。

 

人は探索行動を行いながら感覚を発達させたり自律神経を発達させたりしていきます。また、たくさんの人とかかわる中で社会の中で生きて行くすべを学んでいきます。

 

安全基地を確保できなかった子供は、探索行動の幅が狭くなり、他者と交流することも少なくなってしまいます。幼少期からの経験不足が、発達に大きな悪影響を与えてしまうのです。

 

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