ADHD力向上委員会

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ADHDと誤診:躁とADHDの落ち着きのなさの違いは?

ADHDで落ち着きのなさが前面に出てしまっている人の行動と、躁うつ病の躁状態とは見分けがつきにくいものです。現に、ADHDという概念が浸透していない時代には、ADHDの行動を躁状態と診断されることは珍しいことではありませんでした。

 

では、ADHDの落ち着きのなさと躁状態の落ち着きのなさを見分ける方法はあるのでしょうか?

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ADHDと誤診:そうとADHDの落ち着きのなさの違いは?

ADHDの落ち着きのなさと躁状態の落ち着きのなさの違い

ADHDの落ち着きのなさは、多動という症状です。では、なぜADHDは多動になるのでしょうか?

 

脳には神経細胞同士の情報をやり取りするときに大切なやり取りをする脳内伝達物質というものがあります。ドーパミンもその神経伝達物質の一つです。

 

ドーパミンは、あらゆる行動を起こすときに必ず必要となる物質です。

 

ドーパミンは、多すぎても少なすぎても行動に悪い影響を与えてしまいます。ですから、ドーパミンを分泌した後、余分を回収する再取り込という機能が働きます。

 

ADHDでは、このドーパミンの再取り込が過剰に行われ、ドーパミンが足りなくなってしまうのです。ドーパミンが足りなくなったため、行動に対する情報の伝達が上手くいかなくなり、刺激に対して行動をコントロールできなくなり「多動」となってしまうのです。

 

躁状態では、ドーパミンの分泌が過剰になっています。ドーパミンが過剰になっているため、気分の高揚や、過剰に行動してしまうような状態が起こるのです。

 

一見、思いついたまま落ち着きなく、ちぐはぐな行動をしているように見えますが、脳内を見てみるとADHDと躁では、全く逆のことが起こっているのです。

 

ポイントは、行動がいつ始まったのか

ADHDと躁状態の鑑別は、「躁状態がいつ始まったのか」がポイントです。

 

ADHDは先天的な障害です。ですから、成育歴をたどって行くと子供の時から授業中にじっとしていられなかったなど「落ち着きのない子供だった」というエピソードがあるはずです。

 

そして、「落ち着きがない」というエピソードは、小さなころから現在まで大体絶え間なく起こっているはずです。

 

一方で、躁うつ病の躁状態は後天的なものです。ある時期から「いつもの状態とは違う」「急に元気になった」というようなエピソードが「始まって」いるはずなのです。

 

ADHDの二次障害であることも

ただ、気を付けてほしいのが、ADHDの二次障害として、躁うつ病を発症してしまうことがあるということです。ADHDの傾向を持っている人は、失敗体験を積みやすく、ストレスから精神的な不調を抱えやすくなります。

 

二次障害で多いのは、うつ病などの気分障害です。ときには、気分が沈む鬱ではなく気分の浮き沈みを繰り返す躁うつ病を発症してしまうことがあります。

 

二次的に躁うつ病を発症した場合、第一の治療目標は気分を安定させることです。気分が安定して来たら、ADHDの症状を和らげるような薬物療法や、日常生活で困難さを和らげるための行動療法などの治療が行われます。

 

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