ADHDの怒りのコントロール3:問題となる怒りのパターン
ADHD傾向があって「怒りっぽい」と言われている人の中には、子供の時の経験から怒りに関する悪い行動パターンが身についてしまっている可能性があります。
問題となる怒りのパターン
怒りっぽい性格の人は、以前に怒りにまかせた行動をとって「すっとした」経験があるのではないでしょうか。
怒りにはサイクルがあります。
前回、誰かが後ろからぶつかってきたという出来事を例に出しました。
- 誰かがぶつかった。
- わざとやったのではないか!?
- 腹が立つ!怒ろう!
- 「怒り」
というように、「ぶつかった」という出来事に対して、2の「出来事に関する考え」が怒りにつながるというお話でした。
その続きで、感じた「怒り」を「行動化」すると下のようになります。
- 誰かがぶつかった。
- わざとやったのではないか!?
- 腹が立つ!怒ろう!
- 「怒り」
- 「痛いだろ!」と文句を言った。
- 相手が謝った。
- すっとした。今度から文句を言おう。
怒りにまかせた行動が自分にとって「良かった」という行動につながると、怒りで相手やその場の状況をコントロールするパターンが身についてしまうのです。
「出来事」が「怒り」に向かわない「出来事に対する考え方」は次の通りです。
- 誰かがぶつかった
- 「急いでいたのかな?」
- 「まあいいか。」
- 平常心
2の考えに至るには、自分が同じように人にぶつかった、ぶつかって怒られた、相手を怒って逆に痛い目にあったという経験が必要です。
経験があって、トラブルに至らないように過去の出来事を引き合いに出して感情をコントロールする必要があるのですが、ADHD傾向の人はワーキングメモリーが小さいので過去の経験を引き合いに出すのが苦手です。
その上、「怒り」が周囲をコントロールできるといった間違った学習を子供のころから繰り返していると、「怒り」⇒「行動化」というパターンを修正しにくくなってしまいます。
腹が立ったら感情まま怒り、周囲をコントロールすることは、もちろん大人の社会では通用しません。また、怒りの感情は伝染していきます。自分がむけた怒りが周囲の人たちに伝染していくと、ぎくしゃくした関係が自分を含めた世界で構築されていってしまうかもしれません。
怒りは間違った感情ではありませんが、表出の仕方を間違えると自分を幸せから遠ざけてしまいます。
怒りのパターンを修正していくことは、いつからでもできます。そう、今からでも。
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