ADHDの症状はドーパミンの働きが低下して起こる
ADHDの注意力・集中力の低下は神経伝達物質の一つドーパミンの働きが低下して起こります。ドーパミンは目的を持って行う行動やワーキングメモリーを働かせるためにとても大切な働きをしています。
神経伝達物質とは?
ニューロンとシナプスの話
脳の中には無数のニューロンという神経細胞が広がっています。生まれたばかりの赤ちゃんの脳にはすでに約140億個のニューロンが出来上がっています。約140億個というのは、大人の脳にあるニューロンと同じ数なのです。
でも、赤ちゃんの脳はニューロンの数はそろっていても十分に機能していません。脳はニューロンどうしが繋がってネットワークを広げて行くことによって発達してきます。
この、ニューロンとニューロンのつなぎ目の事をシナプスと言います。
シナプス同士の情報を伝達するのが神経伝達物質
シナプスどうしのネットワークがつながると、シナプス間で情報交換を行うようになります。シナプスとシナプスの間には隙間が空いています。あるシナプスが隣のシナプスに情報を送る手段は、伝達したい情報を乗せた物質を隣のシナプスに向かって放出することです。この物質を神経伝達物質と言います。
シナプスには神経伝達物質を受け取る穴が開いています。これを受容体と呼びます。
ADHDがドーパミンの働きが低下するのはなぜ?
でも、全ての神経伝達物質が受容体に受け取ってもらえるとは限りません。受容体に受け取ってもらえなかった神経伝達物質を無駄にしないために、零れ落ちた神経伝達物質を元のシナプスに戻す働きがあります。この働きを「トランスポーター」と言います。
ADHDはドーパミンのトランスポーターが過剰に働いているのです。トランスポーターが過剰に働くと、受容体に到達するはずのドーパミンをどんどん元の神経細胞に戻してしまい、ドーパミンが働きにくくなってしまうのです。
ドーパミンの働きが弱くなるとどうなる?
私たちの行動の全てには、必ず動機があります。朝目覚めて布団から出て、顔を洗って歯を磨く、この一連の動作一つ一つに、無意識に行動を起こすべき理由付けがあるのです。ドーパミンは、行動を起こすときの動機づけをする働きがあります。つまり、全ての行動を起こすときには必ずドーパミンが働いています。
また、私たちはたくさんの行動を記憶し、学習して行動を進化させていきます。新しいことを覚えた時にはぎこちなくて時間がかかっても、何度も繰り返し行っているうちに効率がよくなって行きます。教えてもらった通りではなく、過去の経験から自分なりにやりやすいように工夫していくこともしています。
こういった一連の行動を「学習」と言います。ドーパミンは学習をするときにも大切な役割を果たします。
また、行動を起こしたり学習をするうえでワーキングメモリーは大切な役割を果たします。ワーキングメモリーを働かせているのもドーパミンです。
ドーパミンが不足していると、目的を持って行動をやり遂げることが難しくなったり、注意力が続かなくなります。また、ワーキングメモリーが適切に働かないと、学習効果も低くなってしまうのです。
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