WRAPの活用法4:不調になる「引き金」の存在を知り対処法を考える
「いい感じの自分」を保つために毎日日常生活管理プランを実施していても、思いがけない出来事が起こって精神的に不調になることがあるはずです。
見通しを立てることが苦手なADHDが予期せぬ災難に見舞われると、嫌なことばかりで頭がいっぱいになってしまいます。不調になる「引き金」をあらかじめ予想しておき、対処法を考えておくといざというときにとても役に立ちます。
不調になる「引き金」を書きだしてみよう
不調になる「引き金」は、戦争や大地震など近日中に起こるかどうかわからないし、怒ったところで対処することが難しいことは除外します。
今の自分に降りかかる可能性がある身近な出来事で、起こったら自分の精神状態がかなりのダメージを受けるだろうと予測できる出来事を書きだします。
実は、「引き金」を予測して書きだすという行動自体が、ストレスマネージメントをするうえでとても重要な行動になります。
「何か嫌なことが起こったらどうしよう。」と漠然と考え続けているのは精神衛生上よくありません。マイナス思考でいると「いい感じの自分」ではいられなくなります。
かといって、「どうにかなるさ」と常に高をくくるのも良くありません。ADHDは見通しを立てることが苦手で、物事の見積もりが甘くなりがちです。そんなADHDは楽観的な割に不意にやってきた不幸な出来事で受けるダメージが大きいのです。そして、対処法を考えることも苦手です。
具体的なことを考えて書きだすと、視覚的な情報として客観的に自分を危機に陥れる可能性がある出来事をとらえることができます。客観的にとらえることができれば、対処法も考えやすくなります。
対処法を書きだすことで、「こうなったらこうしよう。」というイメージトレーニングができます。
そして、書き記すことで忘れっぽいADHDの記憶を何度も呼び覚ますことができます。
では、ルーズリーフを用意しましょう。そして、一番上に大きく「引き金になる出来事」と書きましょう。
その下に、自分を不調にする可能性がある、実際に起こりえる出来事を書きだしていきます。
私だったら。
- 仕事を詰め込みすぎて対処できなくなる
- 大きなミスをする
- 家族や友人と喧嘩する
- 人から誤解を受ける
- 過去の嫌な出来事を思い出すような状況に置かれる
- 付き合いたくない人から付きまとわれる
- したくない接待を強要される
- 収入が減る
- 大きな病気にかかる
- 眠れなくなる
- 飼い猫がいなくなる
「引き金」の対処法を考えよう
では、ルーズリーフをもう一枚取り出し、「引き金に気がついたらなにをするか」と大きく書きましょう。
そして、とりあえずすぐにできる対処法を書いていきます。
たとえば。
- 日常生活管理プランを良く見直して、丁寧に実行する
- 友達や家族に相談する
- 仕事の事なら上司や同僚に相談する
- 深呼吸やスポーツなど、発散できることをする
- 料理など好きなことに没頭する
- 一日ゆっくり休んでみる
- 「自分の身を守ることを最優先にしていい」と自分に言い聞かせる
不調になった時の対処法は、自分一人で考えていてもバリエーションが広がらないかもしれません。
そんな時は、家族や友達、頼りになる先輩などに、それぞれが普段行っているストレス解消法や気持ちが落ち込んだ時にどうしているのかを聞いてみるといいですよ。「なるほど」と思ったことはルーズリーフの続きに書き込んでおいて、いざというときに試してみましょう。
自分の「回復の呪文」が一つ増えるかもしれませんよ。
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